ごく親しい友人に「立花種久」という作家がいた。
(2020年8月の終わり 多臓器不全にて逝去)
02年から彼の著書の表紙を担当するようになった。
中・短編が主で、内容は現実と超現実が混在する物語で、
読み進むうちに幻想と迷宮の狭間に翻弄される。
これまでに出版された彼の本は次のようになる。
( amazon 及び 紀伊国屋書店 で購入可能、一部不可)
*詩 集は 2 冊
1. 『 水の夢、その他の夢 』(1981年/海溝出版会
定価 1500 円)
2. 『 沼 へ 』 (1984年/れんが書房新社 定価 1500円)
*小説集は紀行集も入れ 15 冊
1. 『 喪われた町 』(1984年/れんが書房新社)
2. 『 にぎやかな夜 』(1986年/れんが書房新社)
3. 『 私設天文台 』(1988年/パロル舎 税込み1598円)
4. 『 森のなかで 』(1990年/パロル舎 定価 1500円)
5. 『 獺 の 日 』(1998年/パロル舎 税込み 1890円)
6. 『 大 蜥 蜴 』(2001年/パロル舎 税込み 1785円)
7. 紀行集『日本列島いきあたりばったり』
(2000年/風塵社 税別 1800円)
2002年からはボクが表紙と一部装幀担当となり
8. 『 不明の時間 』(2002年/パロル舎 税込み 1995円)
9. 『 電 気 女 』(2005年/パロル舎 税別 2800円)
10. 『 鱶 の 眠 り 』( 2009年/私家版 ケース入り )
12. 『 風 塵 日 記 』(2011年/古野庵 ケース入り)
13. 『雨の女と洪水の町』(2012年/古野庵 頒価 1000円)
14. 『 眠 る 半 島 』(2013年/れんが書房新社
定価 2400円+税)
15. 『妖星を見た日』(2014年/れんが書房新社
定価 2400円+税)
16. 『幼稚な怪物』(2019年/ホーボー社
定価 2,800円+税)
◎未刊行作品集 『楽園の猿』『津々浦々徘徊』
私 家 版
『 鱶 ( ふか ) の 眠 り 』
私家版といっても禁書の意味合いではない。
自費版と云うものであり、印刷から含め全工程が手作りになっている。
ケースから取り出すと綴じていないからバラバラになり、一枚の謎のカード。
内容は彼特有のイリュージョンノベル。表題作含め9篇が収まっている。入手は不可能に近い。総ページ数 191。
2009年12月10日 発行
これは2019年9月 発刊
「幼稚な怪物」
Ⅴ章49編からなる短編集。
最終章『流砂』
砂に埋もれた都市伝説の実在が証明されたのは周知の事実だが、曖昧なところがあり幻をみたのだとも。
いまや発見ということ自体が伝説と化しつつあるらしい、という話。
かってあった純文学の魂は
どこへ行ったのかと思っていたら
この人の中にひっそりと息づいていた
ー 呉 智 英 ー
これまでに出版した著作の数々。さてこの中で代表作はどれであろう。
ボクなら一押しは「獺の日」だ。
ここには 15 篇の短編が収録されているが、鵺(ぬえ)という作品は奇妙な味がする。
深夜午前2時、男は風の音に誘われて外出するのだが結果として、煌々と灯りの点いた家の招かれざる客となる。
何か現代の真夜中の都会にいる感じと似ている。